森有正だったか、

 どんなときに幸せかという問いで、パリの雨の薄暗い日にじっとしているのがいい、とか書いていた。
 あれはなんなのだろう、というか、直感的にはわかる。
 私は、自分の人生などにはさして意味もないだろうが、なぜか私に当てられている人生はこれだけなのでそこからしか考えられないのだが、若いときはなにか欧米の文化に圧倒された。そのままそこで適合するような人生に進むのかと思ったが、そうでもなかった。沖縄で八年暮らした。そこで死ぬつもりでもあった。沖縄もある圧倒的な何かだった。
 そして、また、ぽつんと東京にいる。
 率直にいうと、欧米の文化にも直面したくはないし、沖縄や、アジア・アフリカ的な世界に直面したくもない。
 こうしてネットを使っていながら、矛盾するようだが、私はメディアも嫌いだ。テレビは特に嫌いだ。私の脳味噌のなかに映像だの言葉だの注入するやつは全部きらいだ。
 自然が好きなわけでもない。
 ひどいもんだ。最低だと思う。
 ちょっと鬱かもしれないのだが。
 そして鬱だとしたら、全然そういう理由でもないのだが。
 (ちなみに、そんな鬱でもありません。)