読売 2月25日付・編集手帳

タンポポには花の形から「鼓草(つづみぐさ)」という古称がある。親しまれた「タンポポ」の呼び名は、鼓を打つ音をまねた幼児の言葉と伝えられる◆春の七草のひとつ、ナズナの別名「ペンペン草」も、果実の形が三味線の撥(ばち)に似ていることに由来する幼児語という。民俗学者柳田国男が「蒲公英(たんぽぽ)」という随筆に書いている。かつては、「多くの野の草が幼児を名付け親にしていた」と◆各地から春一番の便りが届くこの時期、舌足らずな擬音の名前を口ずさむと、外遊びの季節を待ちかねた幼子の弾む心の内が見えるようでもある。かわいい名前をもらった草花も、名づけ親の子供たちも幸せであったろう

 こりゃまいったな。
 ここで執筆子の無教養(だと思うのだが)を指摘してはあかんやろか。
 ま、無教養とまではいえないか。ほっとくが吉か。当方の知識も確たるものでもないしなと。
 ま、うざい前口上はこれまでで、と、ネットを眺めるに、おっと、ありました。
 ⇒タンポポ

 起源が古いと思われる遊びの一つに、タンポポの茎を折って両端を少し割り、それを水の中に入れるとその外皮がたちまち丸く反り返るのを見ている素朴な遊びがある。
 両端が丸く反り返った茎を、あたかも鼓に見立てて、この草の名を「鼓草」を呼び初めたのかもしれない。

 この写真を見ると、鼓草の意味がわかると思う。
 つまり、「タンポポには花の形から」というのは違う、のではないか。
 このあたりの正確な考証はわからない。柳田国夫あたりの語源説はけっこういいかげん。
 それにしても、タンポポのこの遊びを執筆子は知らなかったのだろう。というか、知らない人が増えているのだろう。自然に親しむというのは、こういうのが当たり前でないといけないと思うのだが。
 ああ、蚊帳吊草なんかの語源も知られてないのかも。