中島敦の遍歴
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勝又の後書きが面白い。この33歳でなくなった作家に一生振り回された…という奇妙な思いだ。
作家というのは、というか、早世の文学者というのは、その享年を越えると印象が変わる。私にとっては太宰はそうだった。三島もそうだ。もう遠からず漱石がそうなるのだろうか。
しかし、中島敦はちょっと違う。
中島敦は、世によくそう見られているような山月記の作者というだけではない。むしろ、本質というのとも違うが決定的なのは南島関連だ。これは、奇妙なことに私にとっては、長い沖縄生活のせいか、存外にわかるところがある。あと、喘息という点も。
繰り返すが、本書は悪くない。が、隔靴掻痒の感はある。非難ではない。