「夜ごとの揺り篭、舟、あるいは戦場」

 下のエントリを書きながら、森瑶子のことを考えていた。
 森瑶子の小説はあまり記憶に残っていない。エッセイは大半は読んだだろうか。断片的にいろいろ思い出す。そして、一番心に残るというか、魂にぐさっと傷のように突き刺さり消えないのが、この「夜ごとの揺り篭、舟、あるいは戦場」だ。ユング的な視点からの彼女のカウンセリング記録でもあるのだが…。私は、これは、ものすごい内容だと思った。人の心のなかにいったいどれだけの悲劇というか苦しみを蓄えることができるのだろうかとも。いや、それは個人(パーソナル)なものではないのかもしれない。
 文学者というのは、個人を越えた、そのなにかを引き出す責務を負っているのではないだろうか、と言うに浅薄か。森瑤子で思うのはそのなにかと彼女の死の関係だ。もちろん、世間的にはそこに関連などなにもない。
 彼女の娘さんはもう30代ではないだろうか。文学者としてある日突然この世界に現れても不思議ではないとも思う。太宰治がその人生を津島祐子に継がせたように。
 あ、それと。

叫ぶ私

森 瑶子

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夜ごとの揺り篭、舟、あるいは戦場

森 瑶子

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