舞い散る花が幻想的だった

夜の町が映画のシーンのようだった。春の花の芳香もあった。少し緩んだ春の気が自分を取り巻く。誰かを愛していたという奇妙な記憶が蘇る。誰を愛していたのか思い出せないのに、かつて愛していた気持ちのかけらのようなものがくっと胸に迫る。誰を思い出すわけでもない。ユーミンの歌が口をついてくる、「見知らぬ町を一人歩いたら 風は空から花びら散らす」「髪に両手に はらはら停まる」 花紀行"COBALT HOUR"(1975)