社説動向

 北方領土問題だが。
 ⇒【日露首脳会談】日露首脳会談で「再活性化」言及せず 政府内で実態反映していないと批判 - MSN産経ニュース

 野田佳彦首相とロシアのプーチン大統領が6月18日にメキシコで初めて会談した際、実際には両首脳とも北方領土交渉の「再活性化」とは発言しなかったにもかかわらず、日本側が再活性化で一致したと説明していたことが4日、判明した。複数の日露関係筋が明らかにした。首相の年内訪露で合意したことも、大統領が原子力エネルギー協力を提案していたことも明らかにされていない。これまでの首脳会談でも事後説明と実際の会談内容が異なることはあったが、政府内からも「これほど実態を反映していないのは珍しい」との批判が出ている。
 両首脳の会談はメキシコでの20カ国・地域(G20)首脳会議の際に行われた。
 首相は会談後「領土問題の議論を再活性化することで一致した」と記者団に表明した。会談に同席した長浜博行官房副長官は記者団への事後説明で「再活性化を図ることは日本側からの発言だ」と説明した。外務省幹部も「続いている話し合いを実質的な、かみ合った議論にする姿勢の表れが『再活性化』という表現だ」と述べていた。
 日露関係筋によると、首相は領土問題について「日露関係のレベルを新たな次元に引き上げるため、領土問題の解決を避けて通ることはできない」と提起。「実務者、外相レベルで交渉を始めるため、『始め』の号令を出すことで合意したい」と持ちかけたものの、「再活性化」という言葉は使わなかった。
 さらに外務省幹部は事後説明で、大統領が「話していく用意はある。外務省間で話をさせよう」と回答したとしていたが、実際には「外交当局間で議論させる用意がある」と発言しており、事後説明よりもトーンは弱かった。
 また、首相は9月にウラジオストクで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に加え、年内の再訪露による2回の首脳会談を提案。大統領は「喜んでお迎えする。訪露の際でも、国際会議の際でも友好的に話を進められる」と応じていた。両首脳は森喜朗元首相の訪露についても話したがいずれも明らかにされていない。
 大統領は原子力エネルギー協力も提案していたが、日本側の事後説明ではエネルギー協力との表現にとどまった。
 藤村修官房長官は4日の記者会見で、「再活性化」で合意したのかと聞かれると「点検しないと正確に答えられない」と述べるにとどまった。

 ⇒露側、領土交渉触れず 首脳会談(産経新聞) - goo ニュース

 【モスクワ=佐々木正明】メキシコで行われた日露首脳会談に関するロシア側の発表には、北方領土交渉の「再活性化」で一致したとの説明はない。大統領府が会談後に出した公式資料には野田佳彦首相の言葉は紹介されているものの、外交儀礼的な挨拶を除けば、プーチン大統領が趣味とする柔道に関しての話題が半分以上を占めている。
 そもそも資料では北方領土問題の交渉に関する部分はまったく触れられていない。ロシアには、交渉内容を詳しく明るみにしない政治文化があるが、経済や人的交流を通じた両国関係の強化に焦点を当てたかったことが推察できる。

 産経報道を鵜呑みにするのはなんだが、どうも、とんでもない話のようだ。

産経 【主張】台湾の尖閣侵犯 やはり断固たる姿勢貫け+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

 これも、産経にも識者はいると思うけど、過去の経緯を学んだほうがいい。そもそも線悪諸島は台湾から問題になったのだし、その意味はという歴史背景があるんだから。

朝日 消費増税―円滑な転嫁のために : 朝日新聞デジタル:社説

 日本経済はデフレに陥り、消費者の安値志向は続く。大企業からの値下げ要請は、円高対策もあって強まる一方だ。
 増税分を転嫁できないと、中小事業者の経営はますます悪化し、「消費税倒産」を引き起こしかねない。

 それはもう。

 政府が検討している対策は次のようなものだ。
 公正取引委員会を中心に独占禁止法などの適用を徹底し、「優越的地位の乱用」や買いたたきに目を光らせる。業界ごとに一致して転嫁を進める価格転嫁カルテルを認める。相談窓口を多く設け、中小事業者の泣き寝入りを防ぐ……。
 価格の表示でも規制をゆるめる。現在は消費税額を含む「総額表示」が義務づけられているが、書籍に認められている「本体価格○○円プラス税」を条件付きで広げる方針だ。短期間に税率が2回上がるためだが、増税分を転嫁しやすくなる効果も期待したい。
 ただ、これらの対策には限界がある。結局のところ、消費者と事業者がそろって消費増税の意義と目的を理解し、納得することがカギとなる。

 現実的には無理だと思うが、というか、時間がかかる。で、その間にまた上がる。

 消費増税に国民が反発する背景には、税率の引き上げだけが決まって、全体像が見えないことへの不満がある。
 所得が低いほど消費税の負担割合が重くなる逆進性への対策も未定で、民主、自民、公明3党の意見はまちまちだ。
 相続税所得税の強化策は3党協議で削除され、今後の論議に先送りされた。
 課題を一つずつ解決し、国民に示していく。3党は時間を浪費している場合ではない。

 というか、だから、逆進性への対策はなんもない。三党合意でめちゃくちゃになっている。これはブログのほうで指摘した。ヘンテコな反論もあるようだが、きちんと三党合意を見るといいと思う。そもそも名目成長率を努力目標にしたら、全然意味ない。

朝日 厚生年金基金―代行廃止は政治の仕事 : 朝日新聞デジタル:社説

 ただ、今は健全な基金も、これからはどうか。全体的に基金の運用状況は悪化している。過去10年間、厚生年金本体の平均運用利回りを上回った基金は、595基金中4基金だけだ。
 下回った分を、穴埋めする体力が企業にあればよい。だが、基金の約8割は同業の中小企業が集まった「総合型」である。穴埋めしようとすれば経営が傾く企業が少なくない。
 1社つぶれたら、その債務を他の加入企業が肩代わりする連帯責任について、報告書は廃止を求めた。これは裏を返せば、国が負うリスクが高まったということだ。
 一方、代行部分を含む運用によって、基金が厚生年金に上乗せできている額は1人あたり月平均7600円ほど。退職後の支えとは言えない。
 そんな制度を、公的年金をリスクにさらしてまで維持する意義は乏しい。まさか、基金天下り役員や運用を受託する金融機関のためではあるまい。
 代行の廃止に向けた制度設計に入るべきだ。民主、自民、公明の3党合意で設置される社会保障改革の国民会議で議論するのも一案だ。

 で、どう解決するのか、社説からは読み取れず。というか、これ現下の政府で対応できそうにないが。

毎回出てくるこの手の文章上達法だが

 はてぶ⇒はてなブックマーク - 文章が劇的に上手くなる!驚くほど単純なライティング上達法 - NAVER まとめ
 元ネタ⇒文章が劇的に上手くなる!驚くほど単純なライティング上達法 - NAVER まとめ
 毎回毎回、同じネタが出てくるというのはどうなんだろ。

短く言い切る勇気を持つ

 短く言えばいいとものではなく、短く言えば、誤解が生じるものでそこをどうフォローするかというのが文章技術。また、短く言ってそこだけ切り取られるということを避けるために長くすることもある。いずれにせよ「勇気」の問題とかいう時点で文章技術ではない。

結論を最初に書く

 そういうタイプの文章があるというだけ。また、結論が常識なり読者の想定範囲にあればそれでもいいが、そうではない結論が想定されるときにこそ、文章技術が必要になる。また、文章というのは、そもそも陳腐なことを書くものではないので、結論には、おや?という違和感が読者に想定される。それを最初に持ってくるというのは、驚かすという文章技術になるのであって、結論が冒頭にくればわかりやすいわけではない。

余分なつなぎ語を削る

 これは概ねそうだが、現代文章術ではこの議論は否定的な方向になっている。という議論をするのはめんどくさいが、そう。「そして」はただ接続しているのではなく、独自の含みがあり、一括文章置換的に考えるものではない。
 気になる人は⇒文章は接続詞で決まる (光文社新書)

漢字は少なく

 これは文章というのがまるでわかっていない。一端はれいの木下先生の本の悪影響がある。「漢字は少なく」ではなく、どういう表記ルールをもつかということ。逆にいうと、表記ルールが意識されてないで、漢字は少なくとかご勘弁なお話。

「という」を削る

 これはどうでもいい話。「という」が生かされる文脈なら使うというだけのこと。ただ、現代文章では、クオート付けというのが流行しており、その代用で「という」が使われることがある。

テーマの補足を書く

 これはパラグラフ構成法に依存する問題。単独のチェック項目ではない。

目的によって文体を使い分ける

 「である」「ですます」を文体としている点で論外な話。文体というのは、そのレベルの問題ではまるでない。

具体的なエピソードを書く

 これは修辞技術。説得術と言ってもよい。エピソードの使い方は存外に難しい。そこにどこまで読者を引き込み、そこから引き出すかという読者の意識を想定しないといけない。

しゃべるように書く

 という手法もあるというだけ。ただし、書き上げたら、音読はしたほうがいい。

PREP法

 という手法もあるというだけ。文章の用途による。

起・承・転・結を作る

 この手の文章術にありがちなのだが、先の「結論を最初に書く」と矛盾していて、なんら違和感がないというのが、救いようがない。

ひらがな、カタカナ、漢字の変換、句読点の挿入

 これも表記ルールの問題。

同じ言葉を繰り返さない

 概ねそうだが、なぜ言い換えをするのかしないのかというのが文章技法になる。
 
 まあこれお薦めしますよ。

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