東京 東京新聞:景況悪化 大胆な金融緩和に動け:社説・コラム(TOKYO Web)

 果断に動くべきなのは日銀である。日銀は一〇年十月に資産買い入れ基金を創設して以来、段階的に規模を拡充して現在八十兆円に増やした。ところが実際に金融が緩和されたかといえば、基金枠の拡大ほど緩和していない。
 緩和を測る指標のマネタリーベース(日銀券と貨幣、日銀当座預金の合計)でみると、基金創設当時と比べ二十五兆円増えただけだ。日銀は「買い入れ基金を増やして緩和した」と宣伝しているが、実はほかで絞っているから、全体として資金供給が増えないのだ。
 政府内からは外債購入や基金増額を求める声が上がっている。政策を小出しにする日銀へのいらだちが背景にある。ただ本来、どう緩和するか、政策手段を考えるのは日銀の仕事である。
 政府は政策手段に口を出すのではなく、肝心の政策目標すなわちインフレ目標の引き上げこそ日銀に働きかけていくべきだ。それは日銀の独立性を侵す話ではない。二月に目標を導入した直後は株価が上昇し為替も円安に動いた。政策効果は明白である。政府と日銀が高い政策目標をしっかり共有する。そこがもっとも肝心だ。

 それがこの政権では無理でしょう。