社説動向

 今年はやけに沖縄復帰話が盛り上がった。40年という節目もだけど、語りやすい文脈に依存できるからだろうと思う。
 日本ではあまり報道されているか知らないが、スコットランド独立が英国では話題になっている。いずれにせよ、また形態についてもいろいろ議論があるが、referendumが大きな意味を持つのだが、沖縄は大田知事時代にこれを経験している。沖縄はreferendumの主体たり得ることは世界に表明してしまったし、それをサミットでも裏付けてしまった。この意味を内地はよく理解していない。沖縄が独立するという単純な意味ではないので書くと誤解を招くだけだが、そういう主体の歴史形成に歩み出してしまったということ。
 大手紙はこぞって、「沖縄の差別意識」を取り上げて、あたかも対中韓にありがちな構図に押し込んでいたが、そうではなく、差別というより、主体意識から差違の意識に向きつつあること。問題はこれを支える経済構造なのだが、まあ、端的にいえば、本土が沖縄を支えないとろくでもないことになりかねない。
 沖縄は本土にとって地方でもあるけど、単に地方ともわりきれない。経済の動向にもよるけど、スコットランドみたいな認識がいずれ定着していくのかもしれない。まあ、概ねのところでいえば、中国の失速によって頓挫はするだろうが、沖縄というのは、そのあとも奇妙に主体が残るだろう。そういう国なのだ。