毎日新聞社説 社説:12年春闘 未来につながる交渉を - 毎日jp(毎日新聞)

 定昇凍結という冷水を浴びせられた連合の憤りはわかる。日本の会社員は入社当時の給料は低いが、次第に上がっていく。結婚して子どもができれば子育てや教育費にお金がかかり、マイホームを持てば長年にわたる住宅ローンを組むようにもなる。勤続年数に従って給料が上がる賃金制度を土台に人生の設計をしているのだ。しかも、近年は多くの職場で正社員が少なくなり、それにともなって個々の正社員への仕事の負荷は高まっている。長時間労働を強いられて賃金も上がらないのでは疲弊するばかりだ。
 しかし、それは「正社員」の切符を手に入れた人たちのぜいたくな悩みではないか−−。たまたま就職氷河期に大学を卒業したばかりに希望する就職先が見つからず非正規職場を渡り歩く若者たちがそのように感じたとしても不思議ではない。
 連合は「非正規雇用の待遇改善」も主張しているが、これまでも春闘の課題に掲げながら成果を上げられなかったのはなぜか。自分たちの賃金が危うい状況の中で、労組のメンバーではない非正規の人々の待遇改善にどこまで本気で取り組めるのだろうか。

 格差はそこにあるんですよ。