朝日新聞社説 来年度予算―危機感がなさすぎる : asahi.com(朝日新聞社):社説

 震災復興関連を除く歳出は6年ぶりに前年度より減って90.3兆円。一方の歳入は、税収の42.3兆円に対し、国債発行が44.2兆円だ。「今年度並みの44兆円にとどめる」との約束はかろうじて守られた、と言いたいところだが、実態は違う。
 からくりは基礎年金の国庫負担にある。負担率を36.5%から50%に引き上げるのに必要な2.6兆円の扱いだ。
 過去3年間は特別会計などの「埋蔵金」をあててきたが、限界に達した。財務省がひねり出したのは、年金積立金を管理する独立行政法人に「交付国債」を出すという手法だ。
 交付国債は小切手のようなもので、受け取った独法側が現金に換えるまで政府は支出を免れる。来年度予算を取り繕うための負担の先送りで、これを加えると歳出総額は過去最大だ。
 からくりの二つ目は、先に決まった今年度の第4次補正予算案だ。総額2.5兆円の中に、本来なら来年度の予算案に盛り込むべき項目が散見される。前倒し計上で来年度予算の国債発行を抑える狙いが透ける。
 典型例が70〜74歳の医療費窓口負担の関連だ。政府は来年度から本来の2割負担に戻そうとしたが、民主党の反対で1割負担の維持が決まった。そのために必要な2700億円を、今年度の4次補正に入れた。

 メモ。