日経新聞社説 主婦年金の返還は原則貫け  :日本経済新聞

 今回の改正に際し、厚労省は当初、時効にかからない過去5年の過払い分を、現在の年金額の10%を限度に今後の年金額から減額する方針だった。だが民主党が低所得高齢者への配慮を求めたため、高齢女性の4割が該当する住民税非課税世帯を対象からはずす修正案を示した。それでも返還に反対する意見が強く、ついにはすべてを放棄することで決着した。
 だが、まじめに届け出て保険料を払ってきた人は納得できないだろう。そもそも保険金は保険料を納めた人に払うのが原則だ。間違った記録をもとに本来の年金より多くもらっている人は5万3千人いる。払うべきではないお金だったのだから返してもらうのは当然だ。政府の周知が不十分だったとはいえ切り替えは自己責任で、95%の人はきちんと届けている。
 こんな不公平がまかり通れば、ただでさえ揺らいでいる制度の信頼性は保てない。選挙を意識し党が甘い対応を求めても、小宮山洋子厚労相は断固とした態度で説得に努めるべきだった。年金や医療・介護など社会保障改革はこれから本番だ。原則も貫けない政府では改革などおぼつかない。

 これは民主党は痛いことになるでしょう。