終風日報編集後記 電子ブックリーダーはなくなるか

 トップニュースがさすがに意味不明なのは困ったものだ。他のニュースを見ると、「10年以内に消え去るもの」という話題があり、リンク先のリンク先に該当記事がある。なんであろうか。消えるものリストのなかで、「電子ブックリーダーはなくなる...」とある。読んでみた。▼私はすっかり電子ブックリーダーは便利だと思うようになっているの。これもなくなるのか。理由はというと、スマートフォンなどに吸収されるからということだ。たしかに表示機能とバッテリーが改善されればそうなるかもしれない。だが、ふと首をかしげる。「分かりやすい例を挙げれば、単体のナイフを持ち歩くよりも、スイスアーミーナイフのようなマルチツールが好まれるという感じでしょうか」▼スイスアーミーナイフは十徳ナイフのことだ。いろいろと多機能なものが詰まっているということでもある。電子ブックリーダーは「機能」であってそれ自体の「物」ではないということなのだ。そこに違和感がある。▼電子ブックリーダーを使っていて感じる愛着は、それが「本」というメタファーを表現しているからだ。情報を読むのではない。「本」を読んでいるのである。「本」が存在するというメタファーこそが電子ブックリーダーのUI(ユーザーインターフェース)なのである。▼そして人間にとってメタファーと実体とはあまり差違がないものだ。愛と愛のメタファーにも差がない。それは始まりにおいて、そして終わりにおいて。