終風日報編集後記 「いま大学生だったら、どういう人生を選ぶか?」

 「いま大学生だったら、どういう人生を選ぶか?」という話題がなぜか政治の項目に上がっていた。「はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記」のエントリーらしい。はてなでの人気も高い。▼読んでみると、まったく理解できないわけでもないし、ところどころ頷くところもあるのだが、私にはあまりピンと来ない。なぜだろうか。私が日本の「大学生」を理解していないからか。▼かく言う私も大学生であった。教育学も学んだ。大学とは何か? 答えは、先進国においては、途上的な知価を持つ若い潜在的な労働者を労働市場に放出せずに保持し、より知価の高い労働者に変性する社会機構である。モラトリアムである。もっと簡単にいうと牢獄に近い社会機構である。▼そうなのだ、諸君。君らは懲役4年。きちんとおつとめをすませなさい。思想家吉本隆明は正確な言葉ではないが、こう言った。学歴コンプレックスなんてくだらないものを引きずるくらいなら大学なんか目をつぶって出ておけばいい。▼しかし今や学歴の差違は大卒ではなく大学間にある。下位に見なされる大学にいる学生には、そもそも人生の選択が少ないというのが実態だろう。▼ではどうするのか? そこから問いかけが始まる。そこで「なるほどね」と思う大学生はすでに、この糞な機構を抜け出し、自分の人生を選び始めている。