朝日新聞社説 再生エネ法案―これでは世界に遅れる : asahi.com(朝日新聞社):社説

 再生可能エネルギー特別措置法案の修正論議が始まった。その柱は、風力や太陽光などで発電する電力を長期間、固定価格で電力会社に買い取らせる制度だ。自民、公明両党はこの買い取りによる電気代上乗せに上限をつけることを要求し、民主党も受け入れる方向だという。
 新制度による買い取り金額は電力代に上乗せされる。この上乗せ分を1キロワット時あたり0.5円を超えさせないとする案が有力になっている。標準家庭だと月額150円にあたる。電気代の急激な上昇を避けるためという言い分だ。
 経産省の試算では、これだと総発電量に占める自然エネルギーの割合は2020年までに4〜5%しか増えそうにない。

 まあ、なにを今更の。

 明細書に記されていないが、電気代には原発の電源立地交付金などの消費者負担が、1世帯あたり月額300円ほど含まれているとの試算がある。つまり原発のためには、自然エネルギー買い取りに制限を求める人たちがいう負担増上限の、2倍の額がすでに課されている。

 そうなんだけど、それを今廃止もできない。

 電気代は今年に入って上昇している。石油、液化天然ガスなどの化石燃料の値上がりによって、東京電力管内の標準家庭では9月の電気代が2月に比べて月額500円以上高くなる。原発停止によって化石燃料の輸入が増えるので、今後さらに値上がりは避けられまい。
 化石燃料の輸入や原発にかかわる負担増には歯止めがなく、自然エネルギーの上乗せにだけ先に上限をつけるのか。国民の理解を得られるだろうか。

 このあたりの議論がよくわからん。「自然エネルギーの上乗せにだけ先に上限」を止めろ、そしてもっと値上げしろというのだろうか。それは無理だというのが国会の現状という話だから循環しているだけではないのか。

 再生エネ法案は、菅直人首相の退陣3条件の一つだ。成立を急ぐ気持ちはわかるが、自然エネルギーの十分な普及につながらない内容となるなら、本末転倒も甚だしい。

 でも、なんら見通しはないし、そもそもこの法案、以前の環境問題時点の原子力ベースの議論の上にできたものではなかったか。