日経新聞社説 中東占うエジプトの民主化 : 中東占うエジプトの民主化  :日本経済新聞

 一方で気がかりな点もある。国民の9割を占めるイスラム教徒と1割のキリスト教徒の衝突が表面化、7日にはカイロで12人が死亡した。
 政変後に台頭した保守的なイスラム勢力が対立をあおっているとされる。強権統治の歯止めが失われた結果、宗派対立が暴力の形で噴き出したとすれば民主化は台無しだ。エジプト国民は議論で解決策を導きだす原則を見失わないでほしい。

 「宗派対立が暴力の形で噴き出した」というのは、暴力を国家が装置化してないということ。

 政権打倒の原動力となった無党派の若者らが、新体制の担い手になりきれない点も心配だ。
 ネットや携帯電話を通じてつながる若者層は政変後も政治組織へ脱皮できず、政権打倒の興奮が冷めるに従い運動の進め方や主張をめぐる分裂騒ぎも起きている。
 イスラム原理主義組織のムスリム同胞団や旧野党勢力は選挙に向けた体制作りで先行する。選挙が旧体制を引きずる既存組織に有利に働くとすれば禍根を残す。若年層も政治参加の受け皿作りを急ぐ必要がある。

 これはさっくりいうと米国の関与の失敗。それと、根っこにあるのは政治ではなく経済。だから、米国がどう資金援助するかが問われるのだけど、今回の「革命」とやらでその受け皿基盤を壊してしまった。

 軍の中立姿勢は評価すべきだが、軍政は過渡的な措置である。早期の民政移行を前提としつつ、幅広い勢力が参加できるよう選挙の枠組みに不備がないか点検も欠かせない。

 率直にいうと「エジプト革命」という幻想から目が覚めればすっきりわかること。