朝日新聞社説 国際離婚条約―「加盟後」の姿が見えぬ : asahi.com(朝日新聞社):社説

 これはよい社説だと思う。

 もどかしいのは、この問題が政治日程にのぼって相当の時間が経つのに、「加盟後」の姿が一向に見えないことだ。
 引き渡し要請がきた場合、どの機関が責任をもち、どうやってその子を捜し出すのか。条約は、子に「重大な危険」が及ぶ場合は返還を拒めるとするが、国内でどんな法律を制定して保障するのか。抵抗された場合、いかなる手段をとるのか。加盟諸国は実際どのように対応し、問題は起きていないのか。
 細部までの設計は無理としても、不明な点があまりに多い。海外に住む日本人の保護と支援は政府の重要な仕事だが、加盟後の取り組みも判然としない。弁護士らから「外交とりわけ対米関係を気づかうばかりで国民の方を見ていない」と批判の声が上がるのも理解できよう。
 この条約は一見、国境を越えた結婚をした人だけに関係するもののように映る。だが考えを進めていくと、離婚後の親子関係をどう築くか、子の意向をどうくむか、子の利益を最優先で考えるとはどういうことか――といった普遍的な問題が浮かび上がってくる。親権のあり方や養育費の支払い確保策など、国内の制度に将来影響が及ぶ可能性も否定できない。

 まあ、そういうことだな。
 この社説、文体もきれいだ。