朝日新聞社説 「トヨタ安全」―リコール騒動の重い教訓 : asahi.com(朝日新聞社):社説

 このような大きなブレは、米当局の姿勢に疑問を抱かせる。当時はGM再建に米国民が期待を寄せているさなかで、中間選挙を控えた時期でもあった。米メディアを中心とした過熱報道もあり、安全性をめぐる冷静な議論が見失われがちだった。

 ちなみに昨年1月30日の朝日新聞社説「トヨタ車回収―安全への感度が生命線だ : asahi.com朝日新聞社)」

 経済危機で利益が吹っ飛び、「成長」に急ブレーキがかかったのは外部要因だが、安全の問題は経営に責任があると考えざるをえない。
 ひとつはトヨタ自身の急速なグローバル化のひずみだ。問題の部品は米国メーカーから調達しているが、設計や品質管理の指導が甘かったとみられる。多くの車種で部品を共通化した結果、問題が起きるとリコール対象が爆発的に増えるようになった。
 トラブルへの対応ぶりからは、米ゼネラル・モーターズを抜いて世界の頂点に立つ過程で頭をもたげた自信過剰と気のゆるみもうかがえる。問題がグローバル化しているのに、日本などの顧客への実態説明や不安解消の手だても十分とは言えない。
 米国での市場調査では、品質面で韓国の現代自動車が日本勢を上回る結果が出始めている。日本勢はハイブリッド車や電気自動車など次世代技術の実用化や開発では優位にあるが、競争は熾烈で安閑としてはいられない。しかも、次世代カーが普及すればするほど、安全や品質による選別と淘汰の時代がやってくるに違いない。