朝日新聞社説 オバマ演説―寛容と品位を求めた : asahi.com(朝日新聞社):社説

 まあしかたがないとは思うのだけど、朝日新聞さんにはこまったもの。

 1960年代以降の米社会は、公民権運動、反戦運動、女性解放をめぐるフェミニズムの動きなどに、保守層が激しく反発し、文化戦争の様相を呈してきた。保守とリベラルに二極化した社会の亀裂は深まるばかりで、党派を超えた歩み寄りが当たり前だった議会は今や、原理主義の戦場となった。各地で草の根保守の茶会旋風が吹き、ラジオのトークショーやインターネットの言論が憎しみを増長させている。

 茶会や保守派へのバイアスがあるだろうと思う。「ラジオのトークショーやインターネット」が対するリベラルの問題とするのはリンボーなどを想起するに無理。ところが、今回の騒ぎはむしろリベラル派の暴走に近かった。それを理解したのがオバマ大統領で、さらにそのことを共和党が理解した。だから、並んで座るというパフォーマンスにした。これは、むしろ、リベラル派の妄想を抑えるのが主眼だった。

先のアリゾナ州トゥーソンの民主党議員狙撃事件で、対立は頂点に達した。リベラル派は保守派の過激な言論が背景だと言い、保守派は精神病患者の犯罪を政治利用しているとなじった。
 この難しい局面を打開したのが、大統領の追悼演説だった。凶弾に倒れた一人ひとりのかけがえのない人生の物語を紡ぎながら、党派を超えて犠牲者たちの願いにふさわしい品位を社会に取り戻そうと訴えた。就任以来最も優れた演説だと評価されている。

 まあ、そう見えるように演出したのが米国政治家の大人らしいところ。