日経新聞社説 理念なき子ども手当の迷走は目に余る

 子ども手当をめぐる迷走は目にあまる。「社会全体で子どもの育ちを応援する」という当初の理念はそっちのけで、つじつま合わせに終始している。財源については配偶者控除の廃止を選挙に不利と断念し、給与所得控除の縮小分などを急きょ持ってくるドタバタぶりだ。
 しかも、新法は再び来年度限りの時限立法にするという。これでは去年、今年に続いて来年も迷走を繰り返すことになろう。恒久財源も恒久法もない手当では、少子化を反転させることなど期待できない。
 民主党は2009年の衆院選挙で、11年度から中学生までの子どもすべてに月2万6千円を支給すると約束し、10年度はまず半額の月1万3千円で出発した。だが、政府・与党は厳しい財政事情で満額支給をあきらめ、来年度は3歳未満に限り月7千円上積みすることを決めた。

 財源がないなら満額支給をやめるのは当然。3歳未満への上積みは、昨年、15歳以下の子どもがいる世帯の扶養控除廃止を決めたことのつじつま合わせだ。1万3千円に据え置けば、3歳未満の子がいる世帯の多くは児童手当に比べて手取りが減る。批判をかわそうという狙いだ。
 すべての子への一律支給にこだわり、子ども手当の受給に所得制限を設けることに反対する民主党が、選挙への影響を恐れて、いとも簡単に年齢によって額を変える。手取りが減るといっても、中学3年まで1万3千円もらえることを考えれば一概にマイナスとはいえない。据え置く選択肢もある。少子化対策なら、第2子、第3子に多く支給してもいい。厳しい財源を考えれば、受給に所得制限をつけるのは当然だ。

 まったく。ここまでお馬鹿な政党だとは思わなかった。っていうか、乾物屋をやっていくくらいの経営感覚があればこんなことにはならなかったんじゃないか。でも、これ以上お馬鹿な政党という可能性もあるから、これでも「ベター」な選択なんだろうな。