産経新聞社説 【主張】平和賞に圧力 「無理押し」大国の異様さ - MSN産経ニュース

10月8日に発表が予定されるノーベル平和賞には、過去最多の237個人・団体が候補として推薦を受け、ノルウェーノーベル賞委員会で受賞者選考が進められている。選考過程は公開されないが、最有力候補の一人と伝えられるのが中国で服役中の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏だ。

 ノルウェーノーベル賞委員会のルンデスタッド事務長によると、中国の傅瑩(ふえい)外務次官は今年6月、「中国に対する非友好的な態度になるだろう」と述べ、中国反体制活動家に平和賞を与えないよう露骨に圧力をかけたという。

 これは実質昨年もそうだった。
 ⇒「〇八憲章」主要起草者、劉暁波氏の初公判の文脈: 極東ブログ

 劉暁波氏の国際的な評価だが、今年のノーベル平和賞オバマ米大統領ではなく彼が受賞すべきだったとの評価は多い。例えば、フォーリン・ポリシー「Nobel Peace Prize Also-Rans」(参照)は、ノーベル平和賞が与えられるべき7人の偉人をまとめているが、ガンジー、エレノア・ルーズベルトヴァーツラフ・ハヴェル、ケン・サロ=ウィワ、サリ・ヌセイベ、コラソン・アキノ劉暁波を加えている。彼はこの生存者4人のうちの1人である。

 カンボジアからウイグル人の強制送還を実現させた習近平国家副主席のアジア諸国歴訪の完成として、この劉暁波氏暗黒裁判があると見てもよさそうだ。
 逆に、劉氏の暗黒裁判を習近平国家副主席が最高権力者の主席になるための階梯として見ると、その経緯に別の光が当てられる。
 最初に想定されるのは、「習近平副主席訪日の天皇特例会見のこと: 極東ブログ」(参照)で言及した習近平国家副主席による訪日天皇陛下会見の、中国側のどたばたが劉氏の暗黒裁判へのプロセスときれいに重なることだ。単純に言えば、オバマ米大統領訪中に劉暁波氏弾圧を批判するメッセージを強めていたら、習近平国家副主席が次期主席となる階梯の手順としての訪日天皇陛下会見が実現できなかったかもしれない。
 またこの1年の経緯を振り返ると、胡錦濤および李克強ラインは、「〇八憲章」と劉暁波氏への弾圧緩和に苦慮していたようにも見えるが、習近平国家副主席を支える集団に、逆にその苦慮で足を掬われた形になったのでないか。

 こういう背景があるんだよ。