読売新聞社説 日銀リポート デフレ脱却には時間がかかる : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 展望リポートは、物価が11年度中に「プラスの領域に入る可能性が展望できる」とした。
 国内総生産(GDP)の実質成長率も、10年度が1・8%、11年度も2・0%と、堅調なプラス成長を見込んでいる。
 だが、現在の経済・物価の情勢からみて、日銀の見立ては少々、甘くないだろうか。
 日本経済は、30兆円も需要が足りず、物価が下がりやすい状態が続いている。デフレに慣れた消費者の財布のひもはすっかり固くなり、小売業界やメーカーの安売り競争は依然として激しい。

 まあ、そういうことだが。

 3月の消費者物価は、下落率が1・2%と前月と同じだった。物価の回復は、このところ足踏み状態が続いている。
 3月は、薄型テレビが36%、エアコンも21%下落して、物価全体を押し下げた。政府の購入支援で販売が好調な省エネ家電でさえ、割安感がないと売れない状況が、デフレのしぶとさを示す。
 一方で、ガソリン価格は16%上がり、物価全体の下落率を0・3ポイント圧縮させた。
 4月もガソリン価格の上昇は続き、これから電気・ガスなど公共料金の値上げも予定されている。鉄鋼や化学繊維などの原材料も高くなってきた。
 国際市況の上昇を背景に、エネルギーや資源関連の品目で価格上昇が広がってきたことも、日銀が物価見通しを上方修正した一因と見られている。
 だが、光熱費や原材料が先導する物価高は、景気にマイナスとなる。厳しい販売競争の中で、企業は思うように販売価格を上げられず、利益が薄くなるからだ。
 こうした「悪いデフレ脱却」では困る。需要の増加による「良いデフレ脱却」が望ましい。

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