消えてしまった些細な名人芸

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 私が若いころ、書店によっては、カバーをかける名人みたいな書店員がいた。不思議な手さばきだった。あれに匹敵するのは、中国の点心の名人くらいなものではないかな。
 駅の切符切りをなんかのイベントで復元実演したという話を先日見かけた。あれも名人芸だった人がいた。連続鳴らしは当然、不思議なリズムがあった。
 ほかになんかあるだろうか。
 香具師というのは概ねそうかな。最近はつまんないのが多い。
 先日チンドン屋を見かけた。若い人なので復刻的だった、というか、音楽がやや洋風。昔のチンドン屋はというと、なんか近寄ってはいけない大人の体臭みたいのがあった。
 そういえば最近豆腐屋を見かけた。これも復刻的だった。昔の豆腐屋はどうだったかというと、なんか、なんというのだろう、普通だった。
 そういえば私の父親も電話線で花のアートみたいのを器用にこしらえていた。造花みたいなもの。昔の電話線というのは、街路のものだが、200本くらいの導線が入っている。いつごろからか、色分けになってそれも色を使ってきれいにしあがるのだった。あれはなんというのだろう。どっかにあれはあるんだろうか。彼が若い頃電電で学んだんだろうと思う、というか、そういう工芸の伝統があったのだろう。
 そういえば昔の電気関係の技師たちは、なにかと器用にいろんなものをこさえていた。
 昭和の人たちは手が器用だったなと思った。今でも手が器用な日本人は多いのだろうけど、なんつうか、たいして価値のないものを器用に作り上げるというのがあった。