日経社説 子ども手当はまず合理的な制度設計を

 地味に良社説。

 少子化を克服するには、社会全体で子育てを支援する必要がある。「子ども手当」も有力な支援策になり得る。だが、巨額の公費を支給する政策は、合理的で持続可能な制度でなければならない。仮に支給開始時期が遅れるとしても、財源の裏付けや所得制限の有無などを含め、合理的な制度の設計が、まず必要だ。
 子ども手当の要求は2010年度が2兆3千億円、11年度からは毎年5兆3千億円にのぼる見通し。防衛費を上回る金額である。

 現在の児童手当は所得制限を設け国と地方、企業が財源を分担している。09年度予算では1兆160億円のうち国が2690億円、地方5680億円、事業主拠出金1790億円だ。藤井裕久財務相は「この財源配分が参考になる」と発言したが、子ども手当では負担の規模が違う。
 地方や事業主の負担を現在の児童手当以上に増やすべきではない。全額国庫負担にするなら、地方と企業が負担している児童手当の財源の今後を明確にすべきだ。

 選挙前からわかっていたことだが、しみじみその愚を味わう秋。