今日の大手紙社説

 日中韓3国の首脳会議が話題といえば話題だが、儀礼以上の意味はない。というか、中国内部の習近平関連の動向のパラメーターで見ないといかんと思うが、まさかそんなのを大手紙に書くわけにもいかないのだろう。
 エコナ問題を取り上げるところが一紙でもあるかと思ったがなかった。
 科学的なマインドがある人ならだいたいこんな印象⇒エコナ問題で思うこと - 松永和紀blog
 これもかな⇒有機化学美術館・分館:エコナの件 - livedoor Blog(ブログ)

(追記:計算を思い切り間違ってました。グリシドール脂肪酸エステルは分解してグリシドールになると、分子量が約1/4.5になります。このppmは重量比であるので、これを計算に入れると27kg、一升瓶18本分ということになるかと思います)

 ただし、これはグリシドール脂肪酸エステルが全て分解されてグリシドールになり、組織に完全に吸収されたと仮定しての話です。実際には体内で分解されるというデータはありませんし、切れるとしても100%ということは恐らくありません。また、グリシドール自体あまり安定な物質ではありませんので、他の食品成分などと反応してかなりの部分が消失すると考えられます。
 要するに、エコナを毎日大量に摂取し、科学的にはちょっと考えられないくらいの悪条件がいくつか重なった場合、もしかすると不幸にしてガンを発生する人が絶対にいないとは言い切れない、というレベルと考えられます。

 厳密にいうと比較の安全基準は欧州にあるにはあるのだけど、これも、「グリシドール脂肪酸エステルが全て分解されてグリシドールに」なるという前提でのこと。
 社会的な問題としての評価は食の安全情報blogさんが言い切っちゃいましたね。
 これ⇒消費者庁と消費者委員会は花王に救われた。 - 食の安全情報blog

花王エコナについて、特保の取り下げを申請した。この取り下げ申請によって,少なくとも通常の手続きを無視した形で許可の取り消しを行うという事態は回避された。もし,消費者庁が消費者委員会での議論のように食品安全委員会の検討結果を待たず認定取り消しを行っていたら,消費者庁は「消費者保護」の名の下に,科学的知見も法で定められた手続きも無視して強権をふるう機関になるところであった。消費者庁花王に救われた。*1

*1:それでも,消費者委員会は手続きを無視して認定取り消しをせまるようなところだという前例は残ってしまった

 今回は、非科学権力の行使が寸止めになったけど、この状況は変わらない。というか、この問題は、厚労省から消費者庁への移管で必然的に起こる問題でもあった。というか、どうその権力に歯止めをかけるかという問題だった。
 花王がふんばって訴訟に持ち込めば、たぶん、国側が負けただろうと思うが、花王に政治的な判断が求められた。
 というか、誰が裏で動いたんだろうか。
 いずれにせよ、この手の問題は、識者はみんな知っているけど、当座の空気では書けない話題。新聞社説にも出て来ないんじゃないかな。つまり、消費者庁の危険性、という問題。
 あと承前⇒エコナ問題は瑞穂丹のタッチストーンになりそう - finalventの日記
 ああ、これも⇒花王に救われた消費者庁と消費者委員会 - 松永和紀blog