日経春秋 春秋(9/9)

本当のところは泉下の芙美子に聞いてみないと分からない。それでも47年の生涯を急ぎ足で駆け抜け、今も若い人に読み継がれる作家が残した言葉の、なかなかの味わい深さだ。「苦しきことのみ多かりき」。こう言い切りたいときもあるけれど、人生は「風も吹くなり/雲も光るなり」。少しばかり勇気がわく。

 林芙美子はいわゆるそうした定見と違う感性の作家だったように思うが、さて、と口ごもる。
 私はこの作品が好きだ⇒図書カード:風琴と魚の町