メモ 水野日銀審議委員記者会見

 ⇒水野日銀審議委員記者会見の一問一答(2009年 08月 20日)

 ──民主党大塚耕平議員が、日銀に財政ファイナンスに協力してもらうことも少しはあると推測していると述べているが、これをどう考えるか。また物価に関して、物価の低下についてデフレ対策が必要と大塚議員は言っているが、デフレ対策として金融政策に期待する声が高まることが考えられる。足元の物価状況を金融政策でどうすべきか。
 「両方とも答えは決まっていて、日銀法の精神にのっとって行動しますということしかない。ただ2つ目については付言すると、物価が下がった理由を考えると、景気が弱いということ。先ほど財とサービスに分けて説明した。財については明らかに需給ギャップがマイナスだということが大きい。最近の動きで個人的に気になっているのが、雇用者所得の動き。中央銀行が物価の安定をと言った場合、それは中長期的にみた話。今起きている物価の下落は、世界経済の景気の低迷に起因する財のところと、それにも関係するが、企業が、世界・日本経済の先行きに対して期待成長率が若干下がってくるのではないか、あるいはもう下がってしまったのではないかという一部の企業が、キャッシュインフローの減少をコストカットで乗り切ろうとしている。それが家計部門にしわ寄せが行っているという状況が起きている。その中で、金融政策だけでできることは、0.1%という政策金利の中で、実際にできることは非常に限られている」
 「われわれがしなくてはならないのは、金融面からの景気の底割れを回避していく、金融システムの安定を維持する、この2つでサポートしていくしかなくて、0.1%の低金利の中では、需要創出効果は極めて限られているという認識なので、金融政策だけでどうこうなるというものではない。中長期的な物価の安定を目指すのが中央銀行の仕事であるということと、2つ目として、低金利の中で短期的に物価を押し上げるような、景気を刺激するような政策を持っているかというと、もっていないという状況。ある程度、長期戦で臨まなければいけないと、今回の世界の金融危機後の情勢の中では、仕方がないと考えている」

 ちと微妙。
 でもこれはそう↓

──金融政策でできることは限られているというが、それでは財政面か制度面で改革が必要ということか。企業のリスクテイク能力を高めるのはどういう策か。
 
 「ニューケインジアン的なマクロ政策運営を前提に考えると、規制緩和になる。財政というのは、一時的に景気を押し上げても、その後、増税を期待する賢明な国民からすると、その効果は持続性がないというのが基本的な学会の考え方だ。そういう点で、需給ギャップが非常の大きくなって、景気が底割れしそうだった昨年の第4・四半期、今年の第1・四半期に政府が補正予算を打った。ワイズスペンディングかどうかという議論はあるが、それは必要だと思う。ただ、景気が最悪期を脱して底割れを回避できたら、持続的景気回復を民間主導でどうやって引き出していくかを考えていかなくてはいけないので、当然、規制緩和ということになると思うし、あとは民間の力を引き出すためには、税制改正、例えば法人税がどうあるべきかという税のあり方の問題とか、研究開発を応援するような何らかの仕組み、あるいは政策面でのサポートが必要になってくる。政府の役割は少しずつ小さくなっていかないといけないと思う。なぜかというと、持続性がなくなってくるため。市場の失敗を政府の介入で止めることは必要だったが、それにいつまでも頼ると今度は、民間活力の低下につながり、結局、潜在成長力の回復にはつながってこない。個人的に期待しているのは、やはり規制緩和、それから民間主導の回復を促すような政策を考えていくべきと考えている