朝日社説 あの戦争の記憶―世代を超え、橋を架ける

 驚かされる数字がある。被爆地にある長崎総合科学大学の平和文化研究所が、同大の学生を対象に行った昨年の調査で、「終戦の日」がいつかを正しく答えられたのは33.2%。15年ほど前は5〜6割台だった。

 9月7日。朝日新聞の執筆子も答えられたかな。

 「お国のために何でもやる。そんな教育に従って生きてしまった気がする」と、振り返った元兵長がいた。
 「強盗、強姦(ごうかん)、殺人、放火……。軍命とはいえ、罪の気持ちはある。でも謝るすべを知りません」。工兵隊にいた人は声を絞りだした。
 話の最後に「無我夢中でゲリラを突き刺した」と、打ち明けた人もいた。

 予備校の先生は、中国で捕虜の任に充てられ、捕虜を放置していけと軍命が下ったが無視して必死に解放に尽力してひどい目にあった。さらに軍命に反したということで死地に飛ばされもした。よく生きていたもんだねと学生ながら思ったのだが、その他のエピソードを聞くに、中国語も達者でよく中国人の社会になじんでいたようだった。反骨の人だった。思い出す度に胸が熱くなる。先生!