朝日社説 日本郵便事件―無責任体質にあきれる : asahi.com(朝日新聞社)

 不正を見過ごしたのは逮捕された2人だけではない。特捜部の事情聴取に対し、両支店で審査にかかわった社員らの大半が違法性を認識していたと話している。支店長らが不当な利益を得ていたわけではないとみられ、漫然と不正を見逃す体質が染みついていたとしか思えない。

 単純にそういう問題なのか、この「事件」は私にはよくわからない。ただ、逮捕された二人という問題でもないだろうから、概ね朝日の指摘通りなのではないか。

 制度の悪用は郵政民営化の前からだった。日本郵便の調査では07年4月から1年7カ月間で、制度を利用した1億8800万通のうち8割が違法なDM広告だった。正規料金との差額はこれだけでも160億円になる計算だ。
 昨秋の不正発覚後、日本郵便は被害者の立場を強調していた。しかし、違法なDM広告の発送窓口となったのは全国で20支店を超えることもわかっている。組織全体の規律にゆるみがあったといわれても仕方ないだろう。
 福祉を目的に割引された料金は、一般の郵便利用料から補填(ほ・てん)されていることになる。国民に広く負担を強いているという認識が、日本郵便には決定的に欠けている。
 年金のずさんな管理や改ざんで、解体に追い込まれた社会保険庁にも比すべきいい加減さだ。
 公社時代からの法令順守に甘い体質は、きっぱり断ち切らねばならない。民間企業で経験を積んだ経営陣は、思い切った手立てをとるべきだろう。第三者を入れた委員会で事件の背景事情を調べるなど、徹底してウミを出さねばならない。

 単純な印象では民営化は必要だったことの確認というところだろうか。この事例でそう言い切るものではないが。