NHK 来への提言 日本文学研究者 ドナルド・キーン 〜もう一つの母国 日本へのメッセージ〜 、見たよ

 ⇒未来への提言  日本文学研究者 ドナルド・キーン  〜もう一つの母国 日本へのメッセージ〜   : BSオンライン

世界のキーパーソンに徹底インタビューする「未来への提言」。今回は、日本文学研究の第一人者で、長年、日本文化を海外に紹介してきたコロンビア大学名誉教授ドナルド・キーンさん(86)。ニューヨーク生まれのキーンさんと日本との出会いは、1940年、18歳のときに、たまたま手にした『源氏物語』の英訳本だった。千年も前に書かれた『美しい』作品に魅了されたキーンさんは、日本文学研究の道を志す。太平洋戦争では堪能な日本語力で海軍の情報将校を務め、終戦後の1953年、京都大学大学院に留学。万葉集源氏物語などの古典文学から、夏目漱石三島由紀夫などの近現代文学まで、幅広く日本文学の研究を続けてきた。同時に、当時はほとんど海外に知られていなかった日本文学の翻訳に努め、コロンビア大学に「ドナルド・キーン日本文化センター」を設立するなど日本と世界の架け橋となた。2008年、外国人として初めて文化勲章を受章している。日本人以上に日本の古典に精通し、客観的かつ愛情をもって日本を見つめてきたキーンさん。その目に、いまの日本人の心のありようや世界とのかかわり方はどのように映っているのか。キーンさんからもう一つの母国日本へのメッセージ。
■インタビュアー:作家 梁石日ヤン・ソギル
1936年、大阪市猪飼野生まれの在日コリアン二世。放浪の末にタクシードライバーとなり、その体験を描いた『タクシー狂躁曲』で作家デビュー。映画「月はどっちに出ている」の原作となった。『血と骨』で山本周五郎賞を受賞。『闇の子供たち』など作品多数。

 キーン先生はいつもどおり。だいぶお年。そして、ますます柔和になられた。本当の日本の知識人の一つの典型のような。日本語はいつもどおり、少し変。発音とかではなく、語彙の意味合いがずれていた。「生活」をlifeの意味で使っていて、あれれと思った。
 梁がどういう役回りなのかが気になっていた。梁が一応役回りどおりテンプレの「在日」を出したあたりで、キーン先生が、でも、梁さんは日本人になれる、といって、え?とびっくり、さらにその先に、先生は自分が見た目も外人だからと言って、さらにえ?。これには梁も返す言葉がなかった。
 キーン先生は日本には欠点がありますよ、物事が両極端すぎると。しかし言葉を濁した。欠点も含めて愛しているといういつもの話でもあった。
 ドナルド・キーンは、ちょっと読んだくらいでは凡庸というか定番的な学者に見えるかもしれないけど、いえいえ、ものすごい学者ですよ。そして、20世紀の代表的「日本人」。
 というか、日本文学に通じるものを、大衆との対話のなかで見つけてしまうというあたりも、おそらく内面の深い傷がそうさせたのだけど、希有なことであり、日本の僥倖だった。というか、日本文化というはこういう人を作り出してしまう。民族とかではなくて。