文章技術ねえ

 文章技術のことにとやかく言える立場にないけど、ちょっと。
inspired byあなたの文章を(ほんの少し)綺麗に見せる九つのテクニック。 - Something Orange

一、理想をもつ。

 これはわからないな。物を書くという内的外的な必要性というものに付随することではないかな。

二、リズムに留意する。

 これは2つ。1、読んでみて息づかいがあるか、2、用語(漢字)が適切に選ばれているか。
 日本語の場合、漢字をうまく配置するとリズムが生まれる。「と言っても過言ではない」「寡聞にして」みたいのはそれの壮烈な失敗例。なので、成語をきちんと文脈でうまく使えるように、それなりに堅い文章を日頃読む必要はあるかも。
 で、この成語の使い方なんだけど、よくある文章術は、わかりやすく書け、だけど、そうすると、リズムはばらけるのですよ。わかりやすさというのは、意外に難物。

三、ただひたすら削る。

 そういう言い方もあるけど、アウトラインが狂っていてそれで、文章ができてから削るのはドツボ。アウトライン時点で削るのと、文章レベルで削るのを分けないと。

四、句読点に気を配る。

 これも読んだ息づかいの問題。この関連で本多勝一「日本語の作文技術」を勧める人が多いけど、それと別にこの人の政治的なポジションがというのもどうでもいいけど、これ、読んでいるときはそう思えるけど、実際にはそううまくいかないのですよ。
 あと、句点の付け方とかは、いわゆる文学はまるで参考になりません。まるでとまでは言いすぎか。

五、改行を意識する。

 これはちょっとバッドテクの部類だろうと思う。というのは、段落が意識されるべきなんですよ。

六、仮名を使いこなす。

 これは常用漢字の勉強が必要。

七、記号を避ける。

 個人的にはダッシュと括弧が難しいかな。

八、詩を殺す。

 これはわからない。内的な表現欲求に従うとしか言えない。

九、コンビネーション・ブローをめざす。

 これは文章のフレームワークに依存。

十、お奨め文章読本

 一つだけあるのだけど、すまん、出し惜しみ。
 ブログとかなら。

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秘伝 〈プロ編集者による〉文章上達スクール (1): 村松 恒平
 これはそれなりにすごい本ですよ⇒極東ブログ: [書評]10倍売る人の文章術(ジョセフ・シュガーマン)  
 あと、「文章は単文がいい」というのがよくあるけど、あれもどうかな。単文の多い文章というのは実際には読みづらい。
 
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理科系の作文技術 (中公新書 (624)): 木下 是雄
 これ勧める人も多いけど、これも結果論的な、どっちかというと鑑賞の本。
 そういえば
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理科系のための英文作法―文章をなめらかにつなぐ四つの法則 (中公新書): 杉原 厚吉
 これもちょっと。
 この本には載ってないけど、文章の接続で意外と重要なのは、dangling というか、dangling modifierというのの使い方。旨い文章とか滑らかな文章を分析すると、けっこう出てくるのだけど、この視点から文体解析した本というのを、とある一冊以外読んだことがない。
 基本は、conjunctionをdanglingにしていくことなんだけど。それと、dangling は意識の持ち方をうまく誘導する技術でもある。

 ウィキペディアを見たら⇒懸垂修飾語 - Wikipedia

懸垂修飾語(けんすいしゅうしょくご、dangling modifier)は、潜在的に主格と目的格のどちらにも適用可能で、節を曖昧に修飾する語句を言う。ほとんどのスタイルガイドでは、懸垂修飾語を文体的に不適であるとしている。

 まあ、それはそうなんだけど。

懸垂修飾語の例を次に示す。(The Elements of Style 1918年版による)

 そういえば、The Elements of Styleは、米国だと大学生なら読んでいるというか読まされる必読書です。っていうか、この演習をうんざりさせられる。

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The Elements of Style (Elements of Style): William Strunk Jr., E. B. White: 洋書
 短いので日本人が読んでも違和感ない。
 よくある、受け身表現はいけない、とか、その手の禁忌の出典。
 で、だから。
 これを破るところに文章技術があるんですよ。
 というか、文章技術というのは、人に食わせる料理みたいなものかな。