朝日社説 毒カレー事件―死刑判決と残された宿題 : asahi.com(朝日新聞社)

 最高裁の判決は明解だった。しかし、事件が起きて以来ここに至るまでの道のりは長かった。
 林被告は当初は黙秘し、のちに無罪を主張した。ところが、犯行を直接証明する証拠はない。検察側は、犯行に使われたヒ素の鑑定書や住民らの目撃証言など約1700点の状況証拠を積み上げた。
 最高裁は、混入されたものと同じ特徴のヒ素が被告の自宅から見つかったことや、被告の頭髪からも高濃度のヒ素が検出されたこと、被告が鍋のふたをあけるところを目撃されたことなどを総合して結論を導いた。

 そうは到底思えないのだが。
 「同じ特徴のヒ素」は科学的には同じとは言い難いし、頭髪のヒ素は直接は関係ないし、目撃証言は本人証言と食い違っているし、どれもつまり証拠ではない。
 それと、この裁判、実質、地裁でしか審議してなくても、その後は高裁・最高裁と却下されて確定ということで地裁を引きずっている。まあ、それが最高裁判決だというのもわかるのだが、あれね、地裁の時の黙秘で検察側が緻密な議論を立てた。それを高裁時点で弁護側が逆手にとったような戦略を採って、まあ、私なんか素人からみると裁判官側を怒らせたというか、テクニカルな議論に持ち込ませた感がある。
 地裁⇒和歌山毒カレー事件 [ 判決要旨 ]
 今回の件で、私は検察はまずいなとはまるで思わない。むしろ、検察ご苦労様でしたと思う。ただ、司法のあり方として、つまり、法理はこれでよいのか?
 市民として見ると、冤罪の可能性が捨てきれないのに死刑なのかと苦い思いがする。