NHKスペシャル 象徴天皇 素顔の記録、見たよ
⇒NHKスペシャル|象徴天皇 素顔の記録
見るつもりはなくて、録画の設定中、天気予報を見ていたら始まり、つい見てしまった。
見て、感動しましたよ。天皇、SUGEEEEですよ。いや、昭和のシーンに明仁さんが出てきて「天皇」と言われると、「ちがうだろ皇太子だ」と脳内コビトが突っ込むのがうざい。
ウヨサヨがお好きな「天皇」というのはさておき、普通に公務をされているリベラルな中産階級の爺さん婆さんの金婚式に至る日々という感じが最高によかったですよ。中産階級なわけはなかろうにというのもあるかもしれないが、その慎ましさはそれだった。
このお二人のお人柄は、もう、どうしようもなくすばらしいものだった。人として優れているのだから、どうしようもないじゃんという以上に、ご努力の姿がきちんと伝わる。
天皇であることには、まあ、公務だしなというくらいに割り切って私は見ていたのだが、いやこの公務はただ事ではない。明仁陛下と美智子皇后の静かな決意が芯にある。率直に言うと、私はそういう芯はもつべきではないと思っている。さらさらと形式的な公務をこなして、プライバシーは誰も知らないでよいと思う。が、そうではなかった。そしてその芯の強さに、感銘もしたが、恐怖も感じた。こういうといけないが、これこそが天皇というものの怖さなのだ。
天皇の神事の姿は初めて見るものではないが、年間30回という、さすが神主の元締め的なお姿にはやはり畏怖した。侍従だったか、明仁陛下は神事で二時間+二時間の正座をするために、あのお年で今でもテレビは正座で見るとのことであった。明仁陛下は根っからの近代人である。が、そのなかに、おそらく神道というもののもっとも上質で厳粛なものがきちんと居座っているのだ。そしてそれは昭和天皇にもあった。どこから来た思想なのか、王道というものがある。
この精神的な力というか、信頼が日本を支えているのかもしれないと思うと、私はなんと言っていいかわからない。ここには、そこいらの頭でっかちの右翼だの左翼だのが見えないものがある。それでいて農協のおばさんはきちんと見えている。
山本七平が生涯をかけて戦ったものが、まだそこにある。単純に忌むべき敵ではないが、これをどうしたらいいのか私には皆目わからない。山本もそう思ったのだろうというのがよくわかる。別段、表層の「天皇制」などはどうでもよい。というか、そういう表層を敵視して共和国とか志向するものは、あの農協のおばさんたちに敗れるのは間違いない。
それはそれとして、明仁陛下と美智子皇后には、ごく人としての地平において、まったく私にはどうしようもなく頭を垂れるほかない人格だとは素直に思った。それを日本の誇りとしてよいのか私にはわからない。ただ、素直に人として尊敬はする。
追記
⇒はてなブックマーク - NHKスペシャル 象徴天皇 素顔の記録、見たよ - finalventの日記
I11 まるで中学生が初デートに行って帰ってきた時みたいにはしゃぐid:finalventおじさん。「共和国とか志向するものは敗れる」と言いたいだけでは。そういうどーでもいい議論で国民を分断するあんたが国の敵。 2009/04/11
違うよ、心底怖かったのだよ。そして、「共和国とか志向するものは敗れる」と言いたいだけ、なわけないよ。網野が終生かけて戦ったものなどI11さんには見えていないのではないか。毛沢東も金日成も、この心底怖いという意味で「天皇」なのだよ。それが多くの民衆を、I11さんが望む「国家を分断する」ことなく、しかも喜悦なのかで死に至らしめていた。どうやって国民がその個々の人生を共同幻想よりも上位に立てて生きるかという問いを、あなたは持ったことがあるのか? id:I11おばさんが、農協のおばさんたちに敗れるのは間違いないと思う。左翼イデオロギーはアジア的段階にあってはイデオロギーのラベルを変えるだけで同じように「天皇」を生み出してしまう。私はその意味ではI11さんとはまったく異なって、人を善意の内に殺しかねない「国の敵」でありたいと思う。人は、その生涯を「中学生が初デートに行って帰ってきた時みたいにはしゃぐ」ように自分の喜悦のために生きるほうがよい。
kazenofukumama ”そのなかに、おそらく神道というもののもっとも上質で厳粛なものがきちんと居座っている”テレビ番組みたくらいでわかんのかね。"この精神的な力というか、信頼が日本を支えているのかもしれない" 迷信深さに唖然。 2009/04/11
そう見える頭でっかちに唖然とするよ。
custardtarte 政治 そこで山本七平(偽ユダヤ人)に言及するところでなんだかげんなりしてしまいます。台無し。 2009/04/11
テンプレですよね。山本七平に天皇のような純真を期待しているのでしょう。以下読んでみたらよいのに。
戦後日本の論点―山本七平の見た日本 (ちくま新書): 高澤 秀次 |