朝日社説 イスラエル政権―対話の流れに逆らうな : asahi.com(朝日新聞社)

 そんなに悪い社説ではないというか、これはこれでよいのかもしれないのだけど、私はちょっと読みが違う。

 右派政党の勢力が伸びた2月の総選挙は、ガザ侵攻の直後、国民の間に戦時下の緊張した空気が色濃く残る中で行われた。その揺り戻しなのか、政権発足直後の世論調査では、新政権に「満足」は3分の1以下、「満足していない」が半数を超えた。特に新外相への支持は4分の1という低さだ。

 「揺り戻し」ではない。というか、朝日はガザ侵攻と右派勢力を対ハマスで同一視しているがこれは逆の動きだ。むしろガザ侵攻はどちらかというと左派的な動きで、ネタニヤフの力を削いだ。もちろんその反発がベイテイヌに流れた面はある。またネタニヤフというのはそれほど右派というわけでもない。というか、日本から見ていると、どうしても表層的な右派左派としてしか見ていない人が多いが非常に複雑だ。ガザ侵攻についてもそういう面があった。
 総じて言えば、イスラエルは穏健派が多く、米国の立場に近く、パレスチナとも穏当にやっていこうとはしているというか、ユダヤ人として見るなら世界にはイスラエルアメリカという二国があり、その二国の連携は強い。

 それには、曲がりなりにも民主的な選挙で多数派となったハマスを何らかの形で認知することだ。イスラエルパレスチナ双方で、強硬派が選挙民の支持を得ている。この現実を見据えることから出発するしかあるまい。

 ハマスの承認は必要なのだが。
 以前になるが⇒極東ブログ: 国連がハマスに資金供与の疑惑?
 これはファタハの関係もあって微妙なのだがハマスが民衆の支持にあるかというところが難しい。もちろん支持はあるのだが、民衆をどう統治しているのかの内実が問われなくてはならない部分がある。少し踏み出していうなら、ガザの市民を巻き込まない手立がないわけでもなかったようにも思える。また、この議論の基本は、ハマス武装解除もあるのだが(非国家が武装している状態ですんなり承認ともいかないでしょう)、日本ではあまり議論を見かけないように思う。
 話を全体に戻すと、論調はNHKのほうが優れている。
 ⇒解説委員室ブログ:NHKブログ | おはよう日本「おはようコラム」 | おはようコラム 「イスラエル新政権と中東情勢」

ネタニヤフ政権が、イランの核問題にどう対応するかが、今後の中東情勢の最大の焦点になるのは間違いありません。

 この問題をメタな正論で朝日は逃げてしまっているので、その意味ですっきりはするし、正義語りの人には受けるだろうが、現実的ではなくなってしまう。NHKのほうでは触れているが問題は、イスラエルの暴発のほうで、オバマがどれだけ抑止的に外交できるかなのだが、これは意外とヒラリーとの小競り合いというお家の事情で阿呆な結末になる可能性もゼロではない。