日経社説 臨床研修の期間短縮は疑問

 短縮化には私も反対。

 しかしこの発想は短絡的ではないだろうか。新制度が医師不足の一因になっているのは事実だろうが、加えて専門分化が進みすぎていることや女性医師の増加なども原因とされている。1年間で医局に戻せば解決するとは思えない。旧制度時代に指摘された問題点はどのように解決するのか簡単な話ではない。さらに専門分化を助長することにもなろう。
 専門的な知識や技術も重要だが、医師に求められるもう一つの要素は幅の広い見識である。専門医になるにしても、より多くの診療科を経験する方が専門性が生かせるという意見も多い。初期研修では少なくとも2年間は内科、外科、救急といった基本的な科に加えて、小児科、産婦人科、精神科、地域医療などより多くの科を経験する方が望ましい。

 それ以前に、お医者さんというのは、つまり臨床なんで、現場でしか学べないものがある。そして臨床医の卵はそのことをよく知っている、だから、それが学べるところを希望している。臨床医の卵にもいろいろあるかもしれないが、総じていえば、こんな優れた日本の宝はないという人材だ。それを育てるためにこそカネを入れろよと思う。臨床はArtであってScienceではないとまではいえないが、Artの部分が大きい。