朝日社説 財政路線の転換―危機克服にこそ規律を : asahi.com(朝日新聞社):社説

 ここは、しっかり考えたい。この世界的な不況が、日本の雇用や地域経済に大きな打撃を与えるであろうことは間違いない。しかも、その期間はかなり長くなりそうだ。政府は財政の力を使って社会の安全網を確かなものにし、国民生活を守る責任がある。
 他方、現在の財政は国と地方を合わせた長期債務が国内総生産(GDP)の1.5倍にものぼり、崩壊状態に近い。これ以上、深刻化させないための知恵と戦略を抜きに、安易に規律を緩めるのは許されない。
 大事なのは、賢さだ。確実に未来に実を結ぶ分野を厳しく選別し、明確な優先順位をつけて財政出動を振り向けることだ。
 10年後、20年後に必ず必要になるような分野、例えば環境やエネルギー技術へのてこ入れ、あるいは急ピッチに進む少子高齢化社会にふさわしい社会資本整備、東京圏の耐震力強化など、対象はたくさんある。

 のちの千金の事。