今日の一冊 「不機嫌の時代」山崎正和

 ⇒丸谷才一さんの私の1冊「不機嫌の時代」山崎正和 | NHK 私の1冊 日本の100冊
 率直にいうと、このシリーズでなんとか丸谷才一を出さないわけにはいかないだろ。だれか、丸谷才一の本を推す人いねー? いないの? じゃ、御大を出すか。大丈夫? 大丈夫じゃないか、みたいな感じを受けた。

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不機嫌の時代 (講談社学術文庫): 山崎 正和
 この本は、私の世代の、ある程度知的水準のある人はみんな読んでいる。というか、山崎正和加藤周一なんかと同じで必読なかただった。
 番組で丸谷の話をきいて、それなりにわかるというか、まいどの丸谷先生なんだけど、「不機嫌の時代」は今日的かなとは疑問に思った。つまり、再読して得るところはどうだろうか、と。
 日露戦争後に、自己の確立から不機嫌、という潮流はあるにはあるのだけど、鴎外、漱石荷風志賀直哉という流れから見えない部分のほうが、現代的には大きいかなという感じがする。
 むしろ、こうした自己の確立的な文芸的な時代コンテクストがどのように、若者というか若いインテリを巻き込んでいったか、その背景で社会主義はどのような意味をもっていたかというほうが大きいかな、と。
 初期の小林秀雄とか読んでいて、その背景の社会主義とインテリの、あの時代の空気みたいのが、もうよくわからない時代になっているようには思う。