日経社説 給油めぐる民主党の「変化」を歓迎する

 民主党による徹底抗戦が続き、給油活動が中断する見通しとなっていれば、麻生太郎首相は、それを争点に据えて衆院を解散し、総選挙で民主党政権担当能力を問題にしていたろう。民主党は不利と見てそれを避けたのだろう。
 アフガニスタンでのテロとの戦いの重要性を認めつつも、インド洋での給油活動には反対し、一方で陸上部隊の派遣は認めてもよいとする小沢一郎代表の独特の理論はわかりにくい。まともに議論すれば、民主党内でも合意ができにくい。給油の争点化を避けたのは選挙を前にした政治的文脈での現実判断だった。
 私たちは、それによって民主党が政策的にも現実判断をできる政党に脱皮することを期待する。ただし、それは次の衆院選でこの問題が忘れられていいという意味ではない。

 テロとの戦いをはじめ、自衛隊による国際協力活動はどうあるべきか――。憲法だけでなく、日本の安全保障、日米同盟のあり方にもかかわる。選挙戦で与野党が論戦をかわす必要がある問題である。

 言葉も出てこない。