今日の大手紙社説

 繰り返し、伊藤和也さんの死に哀悼を捧げます。
 日本人も世界に出るなら、「蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい」というのはあるかとは思う。
 ついでなんで、補足すると、蛇は誘惑の蛇で賢さは悪に通じるずるがしこさ、そして鳩というのは燔祭になるもの、つまり、神のために命を捧げるもの。素直に神にその命を捧げるようにということ。
 つまり、これはとても矛盾している。でも、それを矛盾にしないように生きていくのが、中近東の世界の知恵。そしてその知恵には快活な笑いというものがある。
 史的イエスがこれを言ったかどうかはわからないが、こうした矛盾の聖句には、イエスとして描かれた人の独自の、中近東的なヘレニズム的(ヘブライズムじゃなくて)なユーモアのセンスがある。イエスの言葉には、ナスレッディン的な笑いがある。
 自分の矛盾を笑おう、自分の弱さを笑おう、そうすることで自分を超えていこうというのは、おそらく中近東的なプラクティカルな愛という概念に近いはず。