朝日社説 米印核協力―不拡散体制が空洞化する : asahi.com(朝日新聞社):社説

 自分がこの政策をどう評価するかは別として。

 米国にとっては、原子力ビジネスの機会を広げるとともに、大国インドを引きつけておきたいという政治的、経済的な思惑があるのだろう。
 ただ、その後、インド側で反米色の強い小政党など連立与党の一部に反対論が噴き出し、足踏みしていた。それが今週、マンモハン・シン首相は連立の組み替えという荒療治で国会の信任投票を乗り切り、環境を整えた。残り半年となったブッシュ政権との間で実現しようと急いだようだ。

 これはエモットがいうように、実はブッシュ政権が歴史に残る功績になる可能性はある。

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アジア三国志: ビル エモット, 伏見 威蕃
 書評書けよ、俺。
 でと。

 インドを例外扱いとすることについて、ブッシュ政権はインドが民主国家であり、他国に核技術を売り渡す恐れがないなどと説明している。インドの戦略的な重要性はその通りだ。だが、だからといって、ただでさえ揺らいでいるNPT体制にさらに大きな風穴をあけていいはずがない。

 そのあたりは社説の後ろに鎮座している中国様の思惑と朝日様の思惑はちょっとずれがあって、ずれを双方が知らない部分でうまくこういう社説合意になってしまう部分もある。
 まあ、「自分がこの政策をどう評価するかは別として」とはいったものの、戦後史を知る日本人からすれば、朝日のこの社説の主張が正しいのだけどね。

 協定は今後、日本など45カ国が加わる原子力供給国グループで論議される。全会一致で認められなければ、実際に機能しない仕組みだ。欧州の一部がすでに反対の姿勢を見せている。日本政府もあいまいな態度は捨て、明確な反対を表明してもらいたい。

 ただ、あまり効力はないだろう。「欧州の一部」というときに、薄ら悲しいものがある。それは語義矛盾ですらあるのだし。
 歴史は理念のようには進まない。