寝言ポエム

 最近ぼんやりと古本を買うことが増えた。昔は古本というとそれなりに学術書とか辞書とかその手のものだったが、最近は70年代、80年代、90年代前半の本をなんとなくめっけて買って読む。復刻ものも読む。自分が不思議な時代を生きている感じがする。
 仮面ライダーキバではいちおう1986年が出てくる。紅音也は当時、23歳。彼は1963年10月8日生まれという設定。私は1957年生まれなので、彼よりかなり年が上になる。1986年には29歳だった。というか、29歳はけっこう昨日のような気がする。ぷつんと切ってしまった20代前半の恋の結末を遠く風聞で知って、仕事ほっておきながら高層ビルの谷間で空を見上げて、泣くってものでもないなと思いつつ、呆然としていた。
 村上春樹のエッセイ集というかコラムで「‘THE SCRAP’―懐かしの1980年代」(参照)というのがある。実家にあるかもう処分したか。たぶん、処分したように思うが。今調べると絶版でもなく売っているようだ。へぇ。1987年1月の刊行なので、実際には1986年の年末には読んでいたのではないか。私は当時春樹の本はすべて即買って読んでいた。同書は新書サイズの茶色い装丁だった。まだ80年代も終わらないのに、「懐かしの1980年代」というのは春樹の洒落だった。でも、今では本当に、「懐かしの1980年代」になってしまった。
 記憶を辿るのだが、この中に、カレン・カーペンターの話が出てくる。そしてさらに記憶を辿るのだが、「懐かしの1980年代」は彼女の死に強く結びつけられていたように思う。
 カレンが死んだのは1983年2月4日だった。私の大学院時代だ。彼女は1950年生まれなので私よりはかなり年上になる。リチャードのほうは1946年10月15日生まれ。
 お子さんたちも大きい⇒Carpenters Photo Gallery, Richard Carpenter
 カレンが死んだのは33歳か。そのころリチャードは37歳。なんとなくだが、1983年にはなにかが終わったし、その終わりの後側に残された自分はその後の世界がよくわからない。というか、自分もどこかしら亡霊のように生きて来た部分はある。
 私はカーペンターズのファンだったが、以後、長いことその曲を聴くことができなくなった。苦痛というか。ただ、沖縄でなんとなくクリスマスソングを米アマゾンでまとめて買ったらら、カーペンターズのクリスマスソングが入っていて以来、クリスマスにはカレンの声を聞く。
 古本でもまた自分の書庫でも80年代の本はもうだいぶ古くなっている。
 そういえば⇒ダニエル・ビダル - Wikipedia

ダニエル・ビダル(Daniele Vidal、1952年6月23日-)はフランスの女性歌手。1970年代前半に日本で活躍したことで知られる。

当時フランス領であった北アフリカのモロッコ生まれ。1969年、17歳で歌手デビューし、「Aime ceux qui t'aiment(汝を愛する者たちを愛せ、という意味)」というレコードを出した。これはカバーであったうえ、フランスでは発売されず、「天使のらくがき」という全く別の邦題を付けられて日本で発売された。また、日本語の歌詞を付けた盤も出されるなど、彼女の活動の舞台は日本に置かれた。そのため1970年初頭より、しばしば日本に長期滞在している

1980年に日本人男性と結婚し男児をもうけたが、後に離婚、現在はフランスに在住し、シャンソン歌手として活動している。

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