朝日社説 イラク判決―違憲とされた自衛隊派遣 : asahi.com:朝日新聞社説

 要旨を読んだ程度なのだが、この社説については少し細かくメモを書いておいたほうがよいように思えた。

 あのイラクに「非戦闘地域」などあり得るのか。武装した米兵を輸送しているのに、なお武力行使にかかわっていないと言い張れるのか。
 戦闘が続くイラクへの航空自衛隊の派遣をめぐって、こんな素朴な疑問に裁判所が答えてくれた。いずれも「ノー」である。

 まず、「あのイラクに「非戦闘地域」などあり得るのか」だが今回の判決では判断は難しい。バグダッドについては戦闘地域として認めているし、具体的には米兵の移動もその文脈、つまりバグダッドについて語られている。
 イラク全体が「非戦闘地域」という判断かという点をどう読むかは難しい。私の推測ではイラクを戦闘地域と非戦闘地域に分けることが可能ならという前提がイラク特措法への判断の留保になっていると思う。
 ただ、概ね、イラク全土は戦闘地域と見てよいという理解は外しているものではない。
 次に、「イラクへの航空自衛隊の派遣」についても類似の構図で、バグダッドという地域への米輸送については言及されているが、「イラクへの航空自衛隊の派遣」全体についてはこの判決からは読み取りづらい。

 差し止め請求は退けられ、その意味では一審に続いて原告敗訴だった。だが、判決理由のなかで憲法などとのかかわりが論じられ、派遣当時の小泉政権が示し、その後の安倍、福田両政権が踏襲した論拠を明確に否定した。

 この判決からはそこまで大きな議論はしづらいかと思う。その後の文脈に次の言葉が出てくるのは修辞に偏向を感じる。

 判決は、イラクの現状は単なる治安問題の域を超え、泥沼化した戦争状態になっていると指摘した。とくに航空自衛隊が活動する首都バグダッドの状況はひどく、イラク特措法の言う「戦闘地域」にあたるとした。

 今回の判決ではこの限度内に留まっているというのを先頭にして議論すべきだった。

もう一つ、多国籍軍武装兵員を空輸するのは、他国による武力行使と一体化した行動であり、自らも武力を使ったと見られても仕方ない、つまり憲法9条に違反するとした。

 これは、つまりこの「多国籍軍武装兵員を空輸」については、私も憲法9条に違反であると思う。

もともと、無理のうえに無理を重ねた法解釈での派遣だった。当時の小泉首相は、非戦闘地域とはなにかと国会で聞かれ、「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」などと開き直ったような答弁を繰り返した。

 これは朝日新聞の意見。

 本来、政府や国会をチェックするのは裁判所の仕事だ。その役割を果たそうとした高裁判決が国民の驚きを呼ぶという現実を、憲法の番人であるはずの最高裁は重く受け止めるべきだ。

 これは法理としては違うと思う。民事は基本的に関係者の利害を争うべきもの。