あまり言うのもなんだが

 比喩的にだが、脳のなかのなにかが奇妙に活性化していて、それがどうも精神の老化みたいなものを逆行させている感がある。こんなことを言えば、それがボケとか言われそうだし、別段言われてもいいし、なにもいつまでも心は若いと言っているわけではないのだが。
 この奇妙な感じはなんなのだろう。というのは、これが活性化している人はけして少ないわけではないのだが、この活性化はある種の無私というか自己意識の薄さと関係している。つまりある種のべたな善人に多い。精神は老いていないのだが、そこに自己のようななにが抜けていてそのエネルギーバランスのような。
 悪についても同様にその活性化で老いない一群の人がいて、しかもこの手の人たちは意外と肉体的にも老いていない。もちろん、老いはあるけどそれを凌駕する肉体を持っている。肉体がその悪の源泉かもしれない。ただ、この人々は比喩でいえば、メフィストフェレスの僕(しもべ)であってまたそこに集うカネや女も虚栄でしかない。というか、そのあたりは私はすぱっと割り切ってしまった分、ちょっと善人に近い。
 ま。
 私というのは善人のできそこないでこういうことになっているのだろうか。そんな感じもする。疲れていると感性は衰えるし、その緩慢さのサイクルは心の老いのようであるが、すこし瞑想でもすれば、すぐに中二病のようなビビッドな感覚が再生する。そして、それはいつもひりつく感じがする。