朝日社説 ブッシュ演説―残された亀裂をどうする : asahi.com:朝日新聞社説

 ちょっとこれはあまりにひどい社説だなと思う。別にブッシュを支持するわけではない。

 なのにブッシュ氏はなお、イラクへの米軍増派が「誰も想像できなかった成果」を上げたと胸を張る。確かに宗派間の衝突は下火になり、米兵の死傷者数は減少している。だが、それで対テロ戦全体が成功に転じたとはだれも信じまい。
 出発点だったアフガニスタンでさえ、治安が悪化し、同盟国の間に亀裂が出始めている。隣国パキスタンの政情までおかしくなってしまった。

 アフガンの問題は少し次元が違う。むしろ米国はNATOやEUに縛られている。このあたり、ある意味米国は本当の軍事力を出していない。というか、けっこう国際世界に配慮している。それが裏目に出ている面がある。
 そしてこうした問題が米国の問題とばかり言えないのはむしろNATOやEU側の目下最大の問題であるコソボを考えるといいだろう。朝日はそこを失念しているのか作為的に隠蔽しているのか。コソボダルフールという変数を入れたとき、この社説のスジは保たないだろう。
 「対テロ戦全体が成功に転じたとはだれも信じまい」という見方もあるだろう。イラクの人ですらそう思う人も少なくないだろう。ではイラクの多様な人々がどのようにそれを受け止めているかは単純な問題ではない。それはクルド、トルコ問題を見てもわかる。