日経春秋 春秋(1/24)

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり」。この書き出しで知られる「土佐日記」は平安時代半ばの成立だ。ご案内のとおり作者の紀貫之は女性のふりをして、土佐から京までの旅路と胸のうちをつづってみせた。▼それまでは日記といえば男性が漢文で書く堅苦しいものだった。しかし貫之は女性の間に普及してきた平仮名で心のアヤを自在に表現してみたくなり、あえて女に化けたようだ。

 とのことだが、この定説それほど確固としたものではなかったように思う。ついでにいうと、源氏物語の作者が紫式部だというのも同様。