毎日社説 経済の姿 成熟国の発展モデル作ろう

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 これは日本の底力といっていい。日本の戦後経済の発展は製造業の躍進にあった。80年代から90年代にかけて、経済の主役交代が言われた。第2次産業からサービス業を中心とした第3次産業にということだ。現実はどうか。06年のGDPを産業別にみると、製造業は20.7%でサービス業と並び首位だ。シェアも4年連続で増えている。
 ただ、この状況が今後、続く保証はない。サービス産業主導の流れは止めようがないし、製造業でもソフト技術やサービス産業と結びついた高付加価値化が不断に進んでいる。自動車や鉄鋼が主導する日本の産業構造は高度成長時代の名残を色濃く残していると言わざるを得ない。

 そうではなく金融の国家のビジョンを描くべき時期に来ている。

 日本をはじめとした先進諸国の消費は浪費の域に入っている。これ以上、モノの面で富んだとしても、豊かさの実感が目に見えて上がるとは思えない。先進国は節度ある発展に転換しなければならない。それが成熟国の責任だ。

 日本に必要なのはむしろ消費、内需。ただ、浪費に見えるという生活感覚がある。国民の人生に寄与すべき住宅などへの消費が構造化されず、その分、享楽的な消費になっているからだろう。