日経社説 機動的なEUを生む新条約

 この話題に触れただけでも良社説。

 リスボン条約は、本来は05年にフランスとオランダが国民投票で否決して廃案となった「EU憲法」の代替案だった。憲法の呼び名やEU国旗、国歌に相当する条項を捨て、“欧州連邦”の色彩を薄めることでようやく合意に至った経緯がある。

 代案なのだが。

 EU憲法に比べて、リスボン条約の中身が薄まったと考えるのは誤りだ。政策決定の仕組みは、むしろ大幅に強化される。導入は14年以降になるが、最高決定機関であるEU理事会の表決制度が変わり、現在の全会一致の原則は廃止となる。
 現行の制度では、理事会で一国でも反対すればEUとして共通政策を打ち出せない。新条約の下では、こうした意思決定の停滞を回避でき、政策の機動力が高まるはずだ。
 新条約で注目すべき分野は、エネルギー、環境、知的財産権、移民、観光などの経済政策だ。これらの政策は欧州だけでなく、世界経済を動かす枠組みや日本企業の経営戦略にも、直接関係する分野である。

 中期的にはこれが米国や産油国の利害とどうぶつかるかにかかっている。
 国際的には、もう日本オワタ感はあるが、案外日本は10年から20年後に世界の動向のキープレーヤーに戻っているのではないかとなんとなく私は夢想する。近代史を見てて思うのだが、欧米は中国に期待し日本に敵意を抱いた。結果は日本を潰したが中国への期待もまた外れた。歴史は繰り返すのではないか。