晴れ、今日も酷暑か

 と言いつつ、日は短くなっているし、植物は夏の終わりの色を見せている。昨晩、深夜どうしたことか、ブザーのようにうるさい蝉が窓に体当たりしてきて困った。灯りに引かれたのだろうか。この死に損ないめと、まるで翻訳文学みたいなセリフを呟いて、ああ、死に損ないというのはオレのことかと思い苦笑し、蝉の断末の声を聞くことにした。それはそれで悲しいものだ。蝉に童貞なんてあるのかとふと思い微笑むころ、蝉は静かになった。