先日の夢

 先日の夢。自分が主人公だったのかよく覚えてない。たぶん、そうだろう。感情の揺れはあった。そして今となってはストーリーもよく覚えてないのだが、というか、どっちかというと不愉快な夢だった。
 主人公の私は、たぶん、二十代前半。女の子と別れるというシーンだったかと思う。たしか、私は地面にくずれ落ちて泣いていた。(ただ、崩れ落ちる青年を上から見ている感じでもあったが。)
 女の子と別れる理由は彼女の母親が私との付き合いをゆるさいということだった。そんなことに従うのか君はぁぁみたいなシーンもあっただろうか。
 目覚めてから、なんなんでしょ、この夢はみたいに思った。
 無意識をざらっとサーチすると、50歳で家族に捨てられたという某氏のことが心にひっかかっているので、そんなところからだろうか。
 で。
 昨晩、そう寝付かれないわけでもなかったのだか、いつもどおり、薄暗い部屋でじっと本を読んでいたとき、ふと、むかーしあの女と別れた理由はもしかしたら彼女の母親のせいではなかったかという仮説が心に登った。その仮説でいくつかの記憶を辿ると、そういう仮説が通らないわけでもないように思えた。彼女はもしかしてつらかったのか? そんなことを想像もしたことがなかったので、少し動揺した。
 もちろん、今の私というか、半分死にかけているような私にとって、もう、徹底的にどうでもいい過去には違いない。
 ただ、無意識をざらっとサーチしていくと、いくら彼女がつらかったとしても、それはその人の選択だろう、私の知ったことか、という、なにやら怒りのような感情が若干ある。
 私は私を捨てていった人たちのことを許さないとは思わないで生きてきた。人の勝手だろう、好きにするのがいいさと思っていた。別れていく女にすがったこともなければ、およそ暴力を振るったこともない。
 が、そういう私というのは、たぶん、徹底的に人間味というか、優しさに欠けた人間だっただろう。そして、今でもそうなのだろう。
 が、ここでいくら思い描いても、人生は過ぎていった。そしてたぶん私は消えるように死んでいく。なんの意味もない。