弾さんの、ウィキノミクスの、ずばり、だけど、たぶん、それは、間違い

追記 このエントリを撤回します。


 ⇒404 Blog Not Found:書評 - ウィキノミクス

本書「ウィキノミクス」は、ずばり、「Web2.0経済の本」。

 当の Wikinomics については、書籍内での解としては、マスコラボレーションまたはピアプロダクションとされているので、経済学の含みは少ないです。
 韓国語版のWikipediaでは、Wiki経済学という訳語を充てているので、その根拠をいろいろ探ったし、けっこう私も念入りに原文に当たったけど、Reaganomics のような、
 
 Wikinomics = Wiki + economics
 
 という解はなかった。
 あるいは、そういうふうに経済学を示唆する点があったら、教えてくださいまっせ。
 なので、ウィキノミクスは単純に、
 
 Wikinomics = Wiki + nomics
 
 と解釈すべきでしょう。
 で、このnomicsは、ギリシア語の νόμος(参照)、つまり、

ノモス(ギリシア語:νόμος, pl.: νόμοι,, 英語: Nomos)とは、古代ギリシアの掟や習慣・法律の意味で、社会制度上の道徳的観念のこと。この意味から英語の接尾辞“-onomy”の起源となった。また、以下の意味にも使用される。

 もっと簡単にいうと、自然法、自然的秩序でしょう。
 なので。
 これは、ergonomics なんかと同じ語感でしょう。
 なので、経済学の含みは弱いはずです。
 
 ついでに⇒finalventの日記 - Wikinomics (ウィキノミックス)メモ
 さらについでに。

しかし、本書が、皆が一番知りたかった「Web2.0的な収益モデルってどんなだ」「そもそもそんなものがあるのか」ということを真っ正面から取り扱っているということは、この時期に書いておいてもいい。

 取り扱っているけど、実際には書かれていないに等しいというか、そのあたりは、オープンソースの事例ではなく、弾さんが触れているiPhoneの文脈では、iPodの議論が参考になるはず。
 あと。
 ちなみに⇒池田信夫 blog Wikinomics

・・・といった話がいろいろ出ているが、日本企業の事例は一つもない。日本の系列ネットワークもpeer productionの一種だが、囲い込まれた長期的関係に依存しているので、不特定多数の知恵を借りるmass collaborationにはならないのだろうか。ウェブサイトには、続きも出ている。

 「日本企業の事例は一つもない」というのは「企業」という点ではそうだけど、日本の事例がないわけではないのでその点も興味深い点。