夜散歩ポ

 
          蛍光灯の薄暗い街の小道を歩きながら
          五月の花の匂いを嗅ぐ
          いくつもの花の匂いが混じり合い
          どの花ともわからない
          だがその花々の匂いからふと
          私は女を連想して立ち止まる
          私が女の匂いから連想するものはいつも
          血なのに
          暗い夜の天界のような女の髪から
          連想するものも血なのに
          その血にまみれて
          小さな肉塊として
          この球体の表面の点として生まれ出た私が
          静かに暗いこの道を歩いている
          血を避けながら
          それでいて女を求めながら
          それでいて女を避けながら